2018年に見に行った美術館・展覧会(2018.8.13更新)
2018年に行った美術館の感想です。
2018.8.13 秘蔵の名品 アートコレクション展 動物たちの息吹
@ホテルオークラ東京(アスコットホール)
公式HP: http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/events/special/art/2018/highlight/
「虎」をはじめとする様々な動物の姿に焦点を当てた展覧会で、力強い虎、魅力的な猫、愛らしい犬など、動物たちの息吹を感じさせる、様々な絵画70点が展示されていました。
注目すべきは豪華なラインナップ。
・浅井忠《牛追い》
・ジャック=レイモン・ブラカサ《牛のいる風景》
・岸竹堂《猛虎図屏風》
・円山応挙《十二支図の内 菊狗子》
・藤田嗣治《猫》
・菱田春草《黒猫》
・石崎光瑤《孔雀図》
・山口蓬春《洩るゝ陽》 などなど。
特に、犬、猫、虎のいかにも暖かそうでふわふわの毛並み、今にも動き出しそうな生き生きした存在感は悶絶ものです。かわいい。幸せ。涼しい場所で動物たちに癒される、とてもいい展覧会でした。開催期間は8月23日 (木)まで。時間は10:00 ~ 17:30 です。
公式HP: http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/events/special/art/2018/highlight/
2018.8.10 水を描く ―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―
公式HP: http://www.yamatane-museum.jp/exh/2018/mizu.html
山種美術館が所蔵している日本画の中から、海、川、滝、雨などの水を描いたものが展示されていました。横山大観、川合玉堂、前田青邨、奥村土牛、東山魁夷、平山郁夫など、有名な画家の作品も。ひんやりした美術館で波の飛沫や川の流れるうねりが聞こえてきそうな涼やかな作品を眺める、避暑にぴったりな展覧会でした。
また、水自体には形も色もなく、周りの風景を映し、見る人(画家自身)の心情を映すもの。同じテーマだからこそ、それぞれの作家の個性が分かりやすく楽しめます。岩絵の具ならではの優しい色合いにも癒されます。
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2018.07.29 イサム・ノグチ ─ 彫刻から身体・庭へ ─
@東京オペラシティ アートギャラリー
公式HP: http://www.operacity.jp/ag/exh211/
イサム・ノグチは「不思議オブジェの芸術家」ではなく、「空間の彫刻」をたくさん残した人でした。特に庭園芸術の代表作で、ノグチ自身が「私の竜安寺」と評したという「チェイス・マンハッタン銀行プラザのための沈床園」は秀逸。枯山水を思わせる石と水だけで静謐な空間を作り出しており、時間を忘れて見入ってしまう作品です。また、今回日本初公開だった伸びやかで流れるような線で描かれた人体素描「北京ドローイング」も必見。
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2018.07.25 モネ-それからの100年
海、川、街並みなどモネの風景画はその空気、光をキャンバスの中にぎゅっと閉じ込めて、眺めている私たちにさもそこにいるかのように見せてくれます。その風景の匂いまで伝わってきそうな臨場感。明るい色使いに自分の生きている世界まで明るくなるような錯覚。「絵を見て元気になる」って本当にあるのだな、と改めて感じさせらる展示でした。詳しくは→
2018.07.06 建築の日本展:その遺伝子がもたらすもの
@森美術館
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/japaninarchitecture/index.html
再現された待庵(茶室)が窓ガラスに映って六本木の夜景と混ざり合う、幻想的で美しい光景。夜に行くのがおすすめ!(空いててゆっくり見れるし…)
距離をなくして人と人をつなげたり、空間を切り取って神から人を遠ざけたり、建築って不思議。模型をじっくり眺めてその中にいることを想像すると、なんとも居心地が良いのだ。
2018.07.06 第73回企画展 日本のグラフィックデザイン2018
@東京ミッドタウン・デザインハブ
http://designhub.jp/exhibitions/3836/
ポスター、カレンダー、商品のパッケージなどいろいろな作品があります。限られたスペースの中で、表現の自由たるや。かわいいもの、きれいなもの、おもしろいもの、見せ方は無限にあるのだと素直に関心する。
2018.06.28「夢二繚乱」
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201805_yumeji.html
画家というよりデザイナーとしての竹久夢二は惹かれて。大正〜昭和という時代の、目に見える部分は現代と似ているのに世相や価値観はまったく異なる感じを存分に味わえる展示。
夢二の画集発売時の資料として展示されていた昭和2年の新聞は、隅々まで読めば読むほど面白い。映画と歌舞伎の新作ラインナップに映し出される戦争の陰、今なお変わらぬ金鳥蚊取り線香の広告、子供がすくすく育つためにはどんなものを食べさせたら良いのか、なんて平和な話題。時代によって変わる思想と、時代が過ぎても変わらぬ人間の営み。
2018.06.24「江戸の悪PART II」
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/special/2018/edonoaku/
悪には人情がある。強いから悪である。
月岡芳年が描く悪人はどこまでも血の通った人間で、その表情は切なくなるような、その心情をあれやこれやと詮索したくなるものばかり。時間を忘れて眺めてしまう。
そして何度でも言っちゃうけど、太田記念美術館の日本庭園風展示室は休憩室として立ち寄りたくなるような、静けさと居心地の良さ。 作品の雰囲気をいっそう引き立てる、素敵な美術館。
2018.06.08「プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画」
題材として人物より静物より風景画が好きなのだと気付かされた展示だった。ともかく風景画。ひたすら風景画。機関車の煙に巻かれたパリの街角、ガス灯に浮かび上がる夜、モネの積みわら。なんだか別の世界みたいだけど、同じフランス。
モネ、シスレー、ピサロらへんの空の色光の色をじっくり堪能できる幸せ。ところで「日の出」と「日没」が対になっている絵があったんだけど、私はそれがなぜ日の出なのか、日没なのか分からなかった。漁に出る準備か、漁の後片付けかで判別できるように書いてあったけど分からなかったな…。絵をもっと楽しむには、習俗を理解することが大きなヒントになるんだろう。